千葉の鍼灸便り

大学病院・民間病院で勤務している鍼灸師のブログ。日本中に病鍼連携(病院と鍼灸の連携)を広めることを目的としている。

寝違え

先日、姉から「寝違えちゃったみたいで首が右に動かせないの・・治してー!」

とのSOS電話がありました。

 

「とりあえず来てみて!」と伝え、来院。

問診、切診、望診は以下のとおりでした

●NRSは10/10(痛みの指標で痛みマックス。痛いから動かせなようです)

●寝違えた晩、寝汗をかいた(寝汗のことを盗汗といい陰虚の所見※日中は陽(陽気)が盛んで夜間は陰(陰気)が盛んになりますが夜間の陰が不足(虚)すると水を体内に留めておけず過剰に漏れ出てしまう。なので水の流れが不足した結果寝違えを起こしたとも考えました)

●舌は紅(実熱、陰虚による熱証)いわゆる氣(熱)が昇っている状態

●下腹部と足先は冷感が強い(かき混ぜていないお風呂状態が体で起こっています。熱と冷が身体のなかで分離し調和されていない状態、上実下虚ともいいます)

●胸脇苦満(お腹のみぞおちから、一番下のあばら骨のラインがガチガチ)

●小腹不仁(下腹部に力がない)

 

いわゆる年齢的にも更年期の年頃なわけで、気が上昇してその気と一緒に熱も上に昇ってしまい、水(冷)は下に停滞。

あと前の日は旦那と喧嘩したことと渋滞にはまったことでイライラがマックスになってしまったようです

 

身体は正直ですね!

姉への処方穴は


「落枕」

寝違えには奇穴(きけつ)で「落枕」(らくちん)というツボがあります。奇穴は身体に流れる線路のようなもの(経絡けいらく)上には存在せず単独で存在するツボなのですが、伝統的にとても効くツボ! なので現在まですたれることなく、伝え続けられてきている「よく効くツボ」なのです!

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落枕(らくちん)

 

 

「曲泉」

更年期でストレスが強く、身体の上部に熱が強く、(首の痛みと炎症も熱と考えます)足や下腹部に冷感があるとき良いですよ!逆気而泄(ぎゃっきじせつ)の経穴で、これは気が上に昇って上部が実しているがその分、下部は気が不足し虚している状態に良いです。そして厥陰肝経(けついんかんけい)の経穴(けいけつ)なので、更年期症状とストレスが組み合わさってしまった時などにも効果的です!

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曲泉(きょくせん)

 

治療後、動かなかった首が右に動くようになり、翌日は痛みがゼロになったよ!との連絡が入りホッと一安心した出来事を今日はご紹介いたしました

 

毎週火曜日

ファミール産院館山にて鍼灸外来行っています

予約0470-24-1135 鍼灸師 飯髙貴子(いいたかたかこ)