千葉の鍼灸便り

大学病院・民間病院で勤務している鍼灸師のブログ。日本中に病鍼連携(病院と鍼灸の連携)を広めることを目的としている。

宿便に関して

こんにちは、渡辺です。

 

本日は「宿便」に関して少し思う所がありますので、解説していこうと思います。

 

腸は第二の脳と呼ばれるように、ここ何年か非常に注目されている臓器です。

 

東洋医学では、2000年以上前からこの腸に関していろいろ考察されており、このブログでも何度か解説したかもしれませんが、便の状態によって体調を調べる一つの指標としています。

 

便秘や、お腹を下しやすいなど、腸に関する悩みを持つ人も少なくありません。

鍼灸や漢方によって、便秘や下痢を治療したりもします。

 

そんな中でたまに出てくるのが「宿便」に関して。

 

あるインターネットサイトでは、人には3~5キロも貯まってるそうです。

 

他の病院のHPでも堂々と書いてあるのですが、実際何なのか良くわかりません。

 

そもそも、前述した3~5キロもどこで言っていたのか出典がわかりませんでした。

また、腸の専門医の先生も否定的なコラムも書いているので、実際に「宿便」がどんなもので、どれぐらいあるのかはよくわからないものです。

 

確かに、医学的な病気の報告では、宿便の言葉が出てくることもありますが、非常に少ない数しか出てこず、とても一般の人が3キロ以上も「宿便」なるものを体内にため込んでいるとは思えません。

 

考えられることとすれば、腸内にいる腸内細菌叢(腸内フローラ)と腸粘膜の事を宿便と考えるのであれば、理解はできますが、それは体に必要な物であり、安易に便としてとらえるものではありません。

 

腸内細菌は合計で1キロ以上になるそうなので、全部出せば、それ以上に体重は落ちるかもしれませんが、それは自殺行為です。

 

乳幼児は、腸内にいる腸内細菌によって性格が変化すると言う研究報告もあり、腸=汚れが貯まってるだけと考える程簡単なものではありません。

 

本来のダイエットは、健康的な肉体を手に入れる事であって、体重を落とす事だけしか考えないで行動するのは、全身の調和を重んじる東洋医学の観点からも危険な行為です。

 

時間はかかりますが、食生活と適度な運動で、健康で美しい体を目指しましょう!