オッカムの剃刀
こんにちは、本日はタイトルの通り「オッカムの剃刀」についてです。
さて、皆さんは「オッカムの剃刀」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ちなみに私は最近まで知りませんでした。
「オッカムの剃刀」とは、教科書的に説明すると
「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」(Wikipedia)
「「必要なしに多くのものを定立してはならない」という原則。」(コトバンク)
といった形で説明されています。
私なりの解釈としては、
「難しく考えすぎず、シンプルな考え方をしよう」
ということだと思います。
実際に医療現場でも「オッカムの剃刀」的考え方が利用されています。
患者さんが病院に診察に来た場合、最も最初に考えられるのはその兆候から確率が高い疾患であるという原則です。
こう書くと難しく聞こえますが、例えば腹痛で受診された場合、いきなり大腸がんを疑ったりしないということです。(もちろん詳しく診察をしていく上で、大腸がんが疑われる場合はちゃんと検査されると思います)
テレビなどでは、ものすごく珍しい病気で最初は医師もわからず、気づかないうちに悪化して九死に一生を得るみたいな話がありますが、そういった病気になる可能性は極めて少ないわけです。
可能性が低いから無視して良いわけではありませんが、わずかな可能性の為にレントゲン、CT、MRI、血液検査などをするのは、時間的にも、金額的にも現実的ではありませんし、検査の中には体に傷を残すものもあり、安易に検査しまくればよいという訳でもありません。
私たちは鍼灸師として、病院のような複雑な検査機器を使用できるわけではありません。
鍼灸では、何でもかんでも悪いところに鍼やお灸をすれば良いものでもないので、オッカムの剃刀の考え方は非常に重要になります。
(見立てが正しいかを判断するために、シンプルな治療が重要になります。複雑なことをして仮に良くなっても、何が効いたか判断しにくくなりますから)
医療提供者側からの視点で説明してきましたが、日常にも役立つ考え方であります。
例えば、旅行に行くとき雨や電車の遅延などは想定して、ある程度準備していきますが、旅行中に飛行機がハイジャックされたり、突然地割れや竜巻が起こって大変な目に合う等と考えないですよね?(そんなこと考えていたら、怖くて外出などできなくなります)
という訳で、体の不調が心配な場合は、重病かと疑って不安になるより、医療機関で診断してもらえば大したことない場合が多いという訳です。
不安になった場合は、まずは専門家に相談しましょう。
一人であれこれ悩んで、ほとんど可能性がない重病だと思い込んで鬱々としているのは、体にも心にも良くないということです。