千葉の鍼灸便り

大学病院・民間病院で勤務している鍼灸師のブログ。日本中に病鍼連携(病院と鍼灸の連携)を広めることを目的としている。

お灸はどんな効果があるのか?(現時点でのまとめ)

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こんにちは、渡辺です。

本日は、お灸に関して。

「お灸って、どんな効果があるの?」とよく聞かれます。

という訳で様々な研究や文献を基に、現時点で渡辺が考えているお灸の効果の考察です。

 

①血行改善

 お灸を行うことで、皮膚に火傷を作ります。

 熱と火傷によって、体はその部分を守ったり修復したりするために周囲の血流を高めます。

 

②痛みの軽減、緩和

 お灸によって体にダメージを与えると、発痛物質が作られると同時に、痛みの抑制も同時に行われます(やりすぎれば痛くなりますが、適度に行うことで痛みの抑制が強化されて痛みを抑える効果が高まる)

 

③免疫細胞の増加

 小さな火傷とはいえ、細胞が壊れ、周囲が雑菌に侵されれる可能性があるので、免疫細胞が増加します。

 

④神経活性の強化

 熱感や痛みを生じさせるため、刺激した神経線維は活動的になり反応が良くなります。

 

⑤特異蛋白の産生

 熱により、たんぱく質が変性し、通常とは異なる体の反応が起こる。ヒストトキシンやヒートショックプロテインなどが出来ると考えられるが、医学的な効果は現時点では不明。

 

⓺神経反射による全身作用

 痛みの軽減とも重なる部分でもあるが、特定部位の刺激で、その部分とは違う作用が起きる。(ツボによる全身の調整など。鍼では、腕に刺すだけで脳内や舌の血流量が増加する研究や、足三里で胃腸の活動が活発になるなどの研究がある)

 

⑦自律神経への影響

 もぐさに含まれる精油成分は、精神を安定させる作用があったり、温熱刺激は副交感神経の活動を高めてくれる(リラックス作用がある)

 また、強い刺激は交感神経を活発にすることもできるので、自律神経失調症に対する効果が期待できる。

 

⑧ターンオーバーの促進

 適度な侵害刺激は細胞分裂を促進させることは分かっているので、一定の刺激は皮膚が新しくなるのを促進すると考えられる。

 

⑨身体機能の賦活

 お灸は炎症反応を利用した治療法である為、一時的に体に負荷をかけることで、身体機能を活性化するのではないかと考えています。

 

ここに並べたお灸の効果は、あくまでも渡辺自身が文献を読んだり調査したりして、現時点でこう言った作用があるのではないかをまとめたものです。

実際にこれらの効果があるかどうかを保証するものではありませんが、お灸の研究は世界で進められています。

 

お灸は日本では雑貨として誰でも買うことができます(鍼は医療機器)。

そして、日本に長年根付いた伝統的な治療法(眉唾な方法もありますが、長年利用されてきた為、一定の安全性が保障されているとも言えます)であります。

そういった使いやすさは、非常に魅力的な点であると考えています。

もちろん、さらなる研究と安全性の評価はし続けるものではありますが、お灸が医療の一翼を担えれば良いと考えております。