千葉の鍼灸便り

大学病院・民間病院で勤務している鍼灸師のブログ。日本中に病鍼連携(病院と鍼灸の連携)を広めることを目的としている。

湿気の多い時の不調はどうしたらよいか。

こんにちは木嶋です。

 

 

近頃の梅雨の雨は


少し前の降り方と違って


急に強い雨が続いたり

 


止んだとおもったら今度は


急に蒸し暑くて…

 

 


天候の変化に体がついていけなくて


絶不調になってはいませんか?

 

 

 


湿気の多いこの季節は


湿気が私たちの体に悪さをして


様々な不調をもたらします。

 

 

 


人が病気になっていく原因のうち、


外の環境からの影響の事を


「六淫(リクイン)」と言います。

 

 


六つの邪(じゃ)のことです。


邪とは「道を外す」「よこしまな考え」
「正しくないこと」


などです。

 


この六淫


…風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪


の6つです。

 

 

 


元々は自然界の私たちにとって


なくてはならない普通の良い氣

 

 


それが異常気象や体の精気の不足によって


身体に悪く影響するようになったものです。

 

 


この六淫(6つの邪気)は


季節や環境と関係が深く

 

 


梅雨の頃は湿気が多いので湿邪が旺盛になり


影響力が増します。

 

 


また湿邪は雨の日や多湿な環境に住まう事でも


人体に影響する原因となります。

 

 


湿邪は


重濁性、粘滞性、下注性、脾を損傷しやすい


という特徴があります。

 


それらの症状は


①重濁性


…湿邪が陽の気を滞らせるため
・頭が重い
・全身が重い
・手足が怠い


…分泌物や排泄物が濁った状態となり
・目脂
・粘液便
・尿混濁
・おりものが増える


②粘帯性
…ねっとりして粘りがあり、動きづらく
気の動きを滞らせる
・分泌物や排泄物の粘稠度が増し、スムーズに出すことが難しくなる


…気も滞りやすくなる。
・特に脾と胃のエネルギー(胃や小腸辺り)


…経絡や関節に影響すると気血の流れが悪くなる
・感覚異常
・関節の痛み


*…湿邪による不調の多くは
粘帯性の影響で、治りにくく、症状が長引くことが多いのです。

 


③下注性
…湿邪は陰の邪で重い質があるので下へ向かいます。そのため人体の下部に症状が起こりやすい


・下痢
・足のむくみ
・排尿困難
・おりもの
など

 


④脾の機能を損傷する
…湿邪により脾、胃の気の滞り
・胸悶
・胃のつかえ
・残便感
などが起きてきます


…気血が作られにくくなる
・息切れ
・眩暈
・不眠
・疼痛


…体内の水液をさばくなど
脾の機能の不調により
・むくみ
・下痢
・泥状便
・内臓下垂
・悪心嘔吐
・食欲不振
・内出血
・生理不順
などが起きてきます

 

 

 

 


ではどうしたらよいでしょうか。。

 

 


湿邪は陰性の邪なので
陽の力を貯めることが大切です。
また、湿気の反対は乾燥です。


多すぎる水分を熱で燃やして
湿気を減らしましょう。


湿邪に対抗するために
体を温めることは大切です。


毎日一日の終わりにお灸をしたり
湯船に浸かったり
朝に乾布摩擦をしたり
してみましょう。

 


夏は暑いのでつい、
冷たい食事や飲み物を選びたくなりますが
その冷たさや水分が陰の気を高めるので
かえって湿邪の力を強めてしまいます。

 


すると
胃の消化や代謝の力も弱まってしまいますし
何より気が作れなくなり
元気が出なくなります。


これが「夏バテ」です。


ですので、食事はなるべく温かいものや
食べる時に冷めていても
一度は火を通してあるものを
食べるようにすることもオススメです。

 


体は食物で出来ています。
暑くてもタンパク質などもきちんととって
バランスのよい食事を心がけましょう。

 

 

 

 


クーラーなど空調設備のない時代は
夏の猛暑を乗り切るのは大変なことでした。


現代は空調設備など
温度管理が発達していますから
除湿することも可能ですね。


もちろん自然な汗をかき、
季節と共に湿邪と共にいることも
大切かもしれません。


しかし、近頃の気候の激しさなどの変化や
元来、湿度の高い季節に不調になりやすいは


無理をせず
空調を使いましょう。


もちろん冷やしすぎはよくありませんが


やり過ぎず、少な過ぎず
極端になり過ぎず
ちょうどいいくらいの中庸で。

 

 

 


バランスよく文明の力を使うことも考えて
湿邪をうまくコントロールしていきましょうね。

 

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